2026年4月28日、欧州の航空燃料(ジェット燃料)不足が「危険水域」に達しているとして、全日本空輸(ANA/All Nippon Airways)と日本航空(JAL/Japan Airlines)が欧州路線で「途中給油」を本格検討していることが報じられ、X(旧Twitter)でも「航空燃料不足」「欠航拡大の恐れ」「ANA・JAL途中給油」がトレンド入りしました。
背景にあるのは、2026年2月28日の中東情勢急変以降続くホルムズ海峡の事実上の封鎖と、それに伴う欧州のジェット燃料備蓄の急減です。国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長は欧州の在庫が「およそ6週間分」しか残っていないと警告し、国際航空運送協会(IATA)も5月末から欠航が広がる可能性があると緊急声明を出しています。
本記事では、何が起きているのかを5W1Hで整理しつつ、ANA・JALの「途中給油」とは何か、燃油サーチャージ最大2倍引き上げの実像、そして夏休み・お盆の海外旅行への具体的な影響と備え方までを、最新の公表資料と報道をもとにまとめます。
航空燃料不足とは?欧州ジェット燃料危機の全体像
「航空燃料不足」とは、ジェット機を飛ばすためのジェット燃料(Jet Fuel/Jet A-1)が、需要に対して供給が極端に細っている状態を指します。
欧州はジェット燃料の輸入依存度が高く、その約4割が中東からの海上輸送に頼ってきました。具体的にはサウジアラビアやUAE、クウェート、カタールなどから出荷され、ホルムズ海峡(Strait of Hormuz)を通って欧州に運ばれてきた構造です。
2026年2月28日に始まった中東情勢の急変以降、ホルムズ海峡は事実上封鎖状態となり、ジェット燃料の通過が止まりました。これにより、欧州のジェット燃料スポット価格は2月28日からの1週間で1バレル157.41ドルまで急騰したとIATAが算出しています。
IEAは「欧州のジェット燃料在庫はおよそ6週間分」と試算し、ファティ・ビロル(Fatih Birol)事務局長は「世界経済は史上最大級のエネルギー危機に直面している」と表現しました。IATAは4月17日付の声明で、各国政府に対し、製油所の稼働率引き上げや代替輸送ルートの確保など緊急対応を要請しています。
ANA・JALが探る「途中給油」とは?日本発欧州路線への影響
日本経済新聞(2026年4月28日報道)によれば、ANAとJALは欧州路線で「途中給油」を本格的に検討し始めました。
「途中給油」とは、本来であれば欧州の到着空港で復路用の燃料を満タンにするところを、欧州側で十分な燃料が確保できないため、復路の飛行ルート上にある第三国の空港で追加給油するオペレーションを指します。具体的には中央アジアや中東の親日国の空港、あるいはロシア領空を避けて経由地となるバンコクや香港、ヘルシンキなどでの給油が想定されています。
途中給油には、所要時間の延長、機材繰りの複雑化、運航乗務員のシフト調整などのコストが発生します。また、給油のために重量計算をやり直すため、貨物搭載量が減って物流面にも影響が及ぶ可能性が指摘されています。
ANA・JALともに「現時点で日本発の欠航は発生していない」としていますが、欧州側の燃料逼迫が長引けば、特に夜間運航や貨物便で減便・運休に踏み切る可能性が出てきます。日本から欧州への直行便を予約している人は、今後の運航スケジュール変更通知に注意が必要です。
燃油サーチャージ「最大2倍」へ:日本発の値上げ早見表
燃料価格高騰の直撃を受け、ANA・JALの両社は4月20日、当初据え置く方針だった燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)を5月発券分から前倒しで引き上げると発表し、6〜7月発券分でさらに大幅に上乗せします。
下表は日本発の主要方面における、片道あたりの燃油サーチャージの推移です。航空券の検索画面に表示される「税・サーチャージ」のうち、サーチャージ部分にあたります。
| 方面 | 4〜5月発券(旧) | 6〜7月発券(新) | 会社 |
|---|---|---|---|
| 欧州・北米(片道) | 約30,000円前後 | 55,000円 | ANA |
| 欧州・北米(片道) | 約30,000円前後 | 50,000円 | JAL |
| ハワイ(片道) | 約18,000円前後 | 30,000円台 | ANA・JAL |
| 東南アジア(片道) | 約9,000円前後 | 15,000〜18,000円 | ANA・JAL |
| 韓国(片道) | 約3,000円前後 | 5,000〜6,000円台 | ANA・JAL |
欧州・北米の往復で見ると、ANAが11万円、JALが10万円のサーチャージが乗ることになり、夫婦2人なら20万円以上が運賃以外で必要になる計算です。これは過去最高水準で、2008年の原油高ピーク時を上回るとみられています。
関連する燃料価格の動きについては、当ブログの過去記事「【2025年最新版】ガソリン減税が撤廃されたらどうなる?配送業・ドライバー・一般家庭への影響と今後の見通しを徹底解説」でも、原油・ガソリン市況と家計への波及をまとめています。
欧州航空各社の対応:ルフトハンザは2万便減便へ
欧州側の航空会社はすでに大規模な減便に踏み切っています。ルフトハンザ・グループ(Lufthansa Group)は4月21日、2026年10月までに短距離便を最大2万便削減し、燃料を4万トン超節約する計画を発表しました。
対象は主にドイツ国内線とフランクフルト・ミュンヘン発着の近距離欧州内路線で、フランクフルト=ミュンヘン便など鉄道で代替できる路線が優先的にカットされます。エールフランスKLMやIAG(British Airways・Iberiaの親会社)も、5月以降の減便計画を公表する見込みです。
欧州内の減便は、日本人観光客にとって、たとえばロンドンやパリで乗り継いでローマ・ベネチアへ向かうルートに直接影響します。乗継便がキャンセルされた場合、振替便の確保が難しくなるリスクがあるため、可能であれば直行便のある都市を最終目的地に選ぶ、または乗継時間を長めに取るなどの対策が有効です。
なぜ今この事態が?ホルムズ海峡封鎖と中東情勢の経緯
事の発端は2026年2月28日の中東情勢急変です。ホルムズ海峡周辺の安全保障環境が悪化し、3月以降、海峡を通過するタンカーは事実上ストップしました。
世界の石油・ジェット燃料の海上輸送のうち、ホルムズ海峡を通る割合は約2割に達するとされ、欧州向けジェット燃料に限れば約4割が同海峡を経由していました。代替ルートとして紅海・スエズ運河ルートや喜望峰経由ルートも検討されていますが、運航日数の延長・保険料の高騰でコストが跳ね上がっています。
米国・サウジアラビア・UAEを中心とする増産協議も進んでいるものの、欧州の製油能力低下(過去10年で約15%減)という構造問題と重なり、需給ギャップが急速に拡大しているのが現状です。
夏休み・お盆の海外旅行への影響と備え方
もっとも気になるのが、夏休み・お盆シーズンの海外旅行への影響です。現時点で予想される影響は次のとおりです。
第一に、欧州方面の航空券価格は5〜7月にかけて段階的に上昇します。サーチャージに加え、需要超過による運賃そのものの上昇が見込まれるためです。第二に、欧州内乗継便の遅延・欠航リスクが高まり、目的地によっては陸路代替(高速鉄道・長距離バス)の活用が現実的な選択肢になります。
備え方としては、まずできるだけ早く航空券を発券することです。サーチャージは「発券日」基準で適用されるため、6月発券に比べて4月中の発券は片道2万〜3万円ほど安くなります。次に、海外旅行保険は「欠航・遅延補償」付きを選び、振替宿泊費や追加交通費をカバーできるようにしておくと安心です。
近場での代替プランも視野に入るかもしれません。国内寝台特急を活用した「鉄道旅」も静かなブームで、当ブログの「【急上昇】サンライズ出雲トレンド!JR西日本「ドリーム・サンライズエクスプレス」8/1運行、松江水郷祭花火の限定寝台ツアー」も合わせて参考になります。
日本国内・アジア路線への波及はあるのか?
結論から言えば、現時点で国内線・アジア線の運航には大きな影響は出ていません。日本国内に流通するジェット燃料は、千葉・四日市・水島・大阪などの国内製油所で生産されている分が大半で、欧州とは需給構造が異なるためです。
ただし、原油価格そのものが上昇しているため、燃油サーチャージの値上げは韓国・東南アジア・ハワイなど全方面に波及します。特にゴールデンウィーク後半から夏にかけて旅行を計画している方は、早めの発券と為替動向のウォッチが鍵となります。
なお、政府は航空燃料の国内備蓄放出や、SAF(持続可能な航空燃料)の供給拡大を含む対応策を検討しているとされ、5月初旬にも有識者会議で具体的な方針が示される見通しです。
よくある質問(FAQ)
Q. ANA・JALの欧州行き直行便はすでに欠航していますか?
A. 2026年4月28日現在、日本発欧州行きの定期便で欠航は発生していません。両社は途中給油などで運航を維持する方針ですが、5月末以降は減便・運休に踏み切る可能性があるため、各社の最新運航情報の確認が推奨されます。
Q. 燃油サーチャージは具体的にいつ値上げされますか?
A. ANA・JALともに5月発券分から前倒しで引き上げ、6〜7月発券分でさらに大幅増となります。日本発欧州・北米はANAが片道55,000円、JALが片道50,000円となり、過去最高水準です。
Q. 「途中給油」で旅行時間はどれくらい長くなりますか?
A. 経由地と給油作業時間にもよりますが、おおむね2〜3時間の所要時間延長が見込まれます。直行便を前提に乗継便や宿泊予定を組んでいる場合は、余裕をもったスケジュール調整が必要です。
Q. 国内線や韓国・東南アジア線にも影響がありますか?
A. 運航そのものへの影響は限定的ですが、燃油サーチャージは全方面で値上げが実施されます。たとえば日本=韓国は片道5,000〜6,000円台、日本=ハワイは30,000円台に上がる見込みです。
Q. 航空券のキャンセル・払い戻しは可能ですか?
A. 航空会社都合で欠航となった場合は、原則として全額払い戻しまたは振替対応が可能です。一方、自己都合のキャンセルは航空券種別ごとの規約によります。利用予定の航空会社の最新規約と公式サイトを必ず確認してください。
まとめ
2026年4月28日時点で、欧州の航空燃料不足は「危険水域」入りし、ANA・JALが欧州路線で途中給油を検討する事態となっています。背景にはホルムズ海峡封鎖と欧州製油能力低下という構造的な問題があり、IEAは在庫「6週間分」、IATAは5月末からの欠航拡大を警告しています。
日本発の燃油サーチャージは6月発券分から最大2倍となり、欧州・北米片道で5万円超は確実です。夏休みの海外旅行を計画している方は、4月中の早期発券、欠航・遅延補償付き保険の付帯、乗継時間の余裕確保といった備えがますます重要になります。
最新情報は、ANA公式サイト(ana.co.jp)、JAL公式サイト(jal.co.jp)、IATA・IEA公式発表、各国政府交通当局の発表で随時更新されます。お出かけ前には必ず予約便の運航状況を再確認のうえ、安全で快適な旅行計画を立ててください。

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